KANE’Sキッチン 最終回
金子シェフは悩んでいた。
財政難、集客不足、番組としての計画性のなさ、そもそもKANE’Sキッチンとは何だったのか。。。
そんな思いが彼の頭の中でない交ぜになり彼はひどく疲弊しついに。。
金子シェフは、エプロンを、脱いだ。
彼は自信を失い、一時は店を畳もうかとも考えたがそんな勇気はなく、無期限の休暇、すなわち事実上の引退という形を取ろうとしていた。
そんな矢先の出来事。。。。。
机の上にうずくまる金子をよそにチャイムが鳴った。
風の噂を聞きつけ、第二回KANE’Sキッチンのゲストである中野区一のラーメン職人(自称)がシェフを励まそうとやってきたのだ。
そして、金子の心の悲鳴を聞きつけ、秋の夜空を切り裂く赤い影がひとつ。
第三回のゲストで金子の料理により救済された市民の味方あんぱん男が空中より舞い降りたのだ。
着地の下手さはご愛嬌。
金子の引退を惜しむ声はまだ続く。
お魚くわえたどら猫ならぬ、お魚くわえたどら息子(第一回のゲスト 上智大学三年国際教養学部 アリオ氏 この男、取得単位数に難アリ)が塀をよじ上り登場。海外で大人気の街中を縦横無尽に駆け回るスポーツ、パルクールに最近はハマっているようだ。
さて、舞台は金子が待つ室内へ。
なんと、彼らは私を勇気づけるため各自食材を集め、魂を揺さぶるような料理を振る舞ってくれるというではないか!!!!l
“偶然”彼らが持ち寄った食材がこちら!!なんと豪華絢爛なことか!!
松阪牛、松茸などの高級食材をはじめとし秋の味覚がズラリ。。。
一体何ができるんだ・・・!?
本来赤いエプロンが舞うはずの場所に見慣れぬ背中が3つ並ぶ。
このとき私の錆び付いた心は輝きを取り戻し始めていた。
そして、扉は閉ざされた。。。
ここからは金子による想像。
。。。。
包丁がまな板をノックする小気味いいリズム。
切り捨て御免。
はじける爽やかなフルーツの芳香。
ふんぬ!!!!!!!!!!
ジューーーーッというドア越しにでも伝わる肉から溢れ出す旨味の洪水、そしてその香ばしい香り。
へへっ、顔が焦げちまうぜ。
魂のフルコースが出来るぞこれは・・・
私は立ち直れる!!そう確信した!!!
さあ、こい!!同士よ!!!
見せてくれ!!君たちの魂を!!!
三時間後・・・・・・・・・・・
私の期待を乗せて、ゆっくりとドアが開いた。
へ?
・・・・・・・・・・・・・・・・
あれ?さっきあんなにたくさんあった彩り豊かな食材たちは?松茸は?松阪牛は?
完全にPに変わってるんですけど・・・あの香ばしい匂いや音は何だったの・・・?これ無音で何の匂いも出さずに作れるPなんですけど・・・
立ち直りかけていた私の心は一瞬で崩れ去った。
いや、まだわからない。味だ。もしかしたら世界中の旨味を凝縮した未だかつて食べた事のないフレーバーが待っているかもしれない。そうだ、食べてみよう。
半信半疑での実食。。。
やはり、今までに幾度となく食べてきたPの味そのものだった。
一体この三人は何をしに来たのだ・・・
悪ふざけはよしてくれ。私は真剣に悩んでいるんだ。
これを落ち込んだ客に出すのか?
そんな憎悪と憤怒の感情が交錯する私は背後に“何か”を感じそっと振り返った。
考えるより先に私の体は勝手に動いていた。
気づくと無心でエプロンに袖を通していた。
このままじゃ終われない。そんな思いが私を突き動かしたのだ。
くぅううううううううううううううううううううう。
金子シェフここに復活。
本物の料理というものを見せてやろう。
さあ!!!ここからは、いつもの金子シェフのテンションででお届けしましょう!!さっきまで誰が話しているのかよくわからない感じで気味が悪かったですよね!!安心してください!!金子シェフはここにいます!!!
早速いっちゃいましょう!
本日、“偶然”冷蔵庫の中にあった食材はこちら!!!うおおおお・・・どこかで見た気がしますがホントに“偶然”ありましたからね〜。
恒例の調理工程大幅割愛!!!
ここまでくるときんもちいいいいい!!
鮮やか〜〜〜
さあ出来上がりがコチラ!!
七色焼きそば〜松茸のホイル焼きすだちを添えて〜。
さあ食べてくれ御三方。
どうですか??
お味はいかが!!!????
きたああああああああああああああああ。
昇天だあああああああああああああああああ。
今思うと彼らは私を奮起させるためにPを作ったのかもしれない。
ありがとうみんな・・・
シェフ自ら!!
どうだ!!??
当然、くぅうううううううううううううううううううううう。
そして、シェフはおもむろに玄関へ。
いただきました。
はい!!!!ということでKANE’Sキッチン最終回どうだったでしょうか?
挫折からの復帰が描かれた今回はみなさんの心に何かを残せたのではないでしょうか。
この番組を通して大きく成長したのかと聞かれたら成長してなくもないんじゃないかなという感じが否めなくもないというのが素直な感想です。
今日で番組は終わりますが、今後のシェフの活躍に期待してください!!
みなさんが忘れない限りシェフは生き続けます。
次にKANE’Sキッチンへと“偶然”迷い込むのは、あなたかもしれません。
それではみなさんこのへんで。
KANE’Sキッチン シェフ 金子 2013.11.3